歯科・歯科口腔外科疾患の診断・治療について

歯科・歯科口腔外科疾患の診断・治療について

■「親知らず」ってなに?
■口を開けるとき顎が痛い・・・・顎関節症
■口内炎が治らない ・・・口腔の腫瘍
■転んで顎を強打した・・・・・顎顔面外傷
■虫歯が原因でこんなに腫れるの?・・・口腔の炎症
■インプラント治療について
■時間外救急時の患者様紹介について・・・紹介していただいております先生方へ

■親知らずってなに?

 

親知らずは、20歳前後に前から8番目の位置に萌出してくる歯で、正しくは第3大臼歯(智歯)と呼ばれています。
Q.どのような場合に抜歯が必要なのですか?
●虫歯
斜めに生えていることが多いため、隙間に食片などが入りやすい上、清掃が行き届かず、虫歯になりやすいのです。親知らずが虫歯になってしまうことはその手前にある第 2大臼歯も虫歯になりやすくなってしまいます。
●智歯周囲炎
完全に生えていないことが多いので、周囲歯肉に炎症を起こしやすいのです。親知らずの痛みの多くはこれにあたります。
●歯列不正
横向きに生えていても、やはり歯は生えようとします。隣接歯を圧迫して歯列不正の原因となる可能性があります。

Q. どのように抜歯するのですか?
  1. 口の周りを消毒し、滅菌された布を顔にかけます。
  2. 口腔内を消毒し、まず顎の奥の部分に局所麻酔をして、下あご半分と舌半分をしびれさせます。(下顎孔伝達麻酔) 
    次に抜く歯のまわりに麻酔をします。局所麻酔薬アレルギーのある方は術前にお申し出ください。
  3. 親知らずが埋まっている上の歯肉を切開し、切削器具を用いて周囲の骨を削り歯が見える状態にします。親知らずをいくつかに小さく分割して抜歯します。
  4. 抜歯した後、きれいに洗浄して最初に切開した歯肉を縫合して終了です。
Q. 抜歯にはどれくらいの時間がかかりますか?
親知らずの生え方や根の形は様々で一概には言えませんが、麻酔が十分に効いてから始めますので30分から40分程度の時間がかかります。
抜歯をしている間、お顔に布をかけてしまいますので表情が見えません。抜歯中、なにかありましたら我慢せず軽く手をあげて教えてください。
Q. 抜歯したあとはどうなるの?
抜歯後は2~3日をピークに腫れ、痛み、口が開きづらい等の症状が出現することがありますが、徐々に症状は軽減し1週間後には抜糸を行います。
以下のようなことがある場合はご連絡ください。
●出血
通常抜歯後、数時間で出血は止まります。抜歯後24時間は唾液に血が混じることがありますが、心配いりません。ガーゼ等による圧迫が最も効果のある止血方法ですが、それでも出血が持続する場合は止血処置が必要です。
●感染
口腔内は細菌の多い環境にあるため、抜歯後感染を起こすことがありますので処方されたお薬は必ず服用してください。抜歯後3日以降に腫脹、疼痛が強くなる場合には感染が疑われます。
Q. どのような偶発症がありますか?
●下顎
親知らずの根の近くに下歯槽神経という神経が走行しているため、まれに抜歯後、下唇の知覚が鈍くなることがあります。感覚が戻るまで数カ月かかることもあります。
●上顎
上顎洞という骨の空洞に近接して親知らずがあるため、抜歯によって上顎洞と口腔が交通することがあります。
多くは自然閉鎖されますが、閉鎖されなかったり上顎洞に炎症を起こしてしまったりした場合は、後日、手術が必要になることもあります。
●皮下気腫
親知らずを分割するときに空気の圧力で回転する歯科用切削機械を使います。このため、ごくまれに皮下組織に空気が入り込んで広範囲に腫脹を生じることがあります。
抜歯の際にも説明させていただきますが、ご不明な点、ご不安な点は、担当歯科医師におたずねください。

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■口を開けるとき顎が痛い・・・・顎関節症

Q.顎関節症ってなに?
あごの関節や周囲の咬む筋肉(咀嚼筋)に何らかの異常がある状態をいいます。
主な症状としては
  1. 口を開けるときや噛む時に、耳の前あたりが痛い。あごが重い感じがする。
  2. あごを動かすと音がする(カクン、ジャリジャリ等)。
  3. 口が大きく開かない。(開口障害)
顎関節症はその障害が生じる部分によっていくつかに分類されますが、多くは関節円板の位置異常や癒着によるものです。
Q.顎関節ってどんなとこ?
顎関節は耳の穴のすぐ手前にあります。
Q.原因はなんですか?
顎関節症の患者さまは近年とても増えています。以前は若い女性に多いといわれていますが、最近は老若男女の区別なく、様々な年代の方が多く来院されます。
はっきりとした原因はまだわかっていませんが、くいしばりや歯ぎしり、偏咀嚼、頬杖をつく癖、ストレスなど複数の因子が重なり発症するといわれています。
Q.どのような治療をするのですか?
痛みの強い急性期に無理をしてしまうと、より症状を悪化させてしまうことがあります。
お痛みがある状態で無理をしない・・・は難しいでしょうが、可能な限りリラックスを心がけてください。
●自宅療法
無理に口を大きく開けたり、硬いものを無理して食べたりしないように注意し、関節や筋肉の安静を保ちます。痛みが軽減してから口を大きく開ける練習をします。また、偏咀嚼や歯ぎしりなどの生活習慣の改善をはかります。
●薬物療法
関節や筋肉の痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬を投与し経過をみます。
●スプリント療法
“スプリント” と呼ばれるマウスピースのような装置を夜間のみ装着し、高さを調節しながら歯ぎしりやくいしばりによって生じる筋肉や関節円板にかかるストレスを緩和し、下顎が無意識に動く運動を利用し関節円板の位置を戻そうというものです。
●関節腔内洗浄療法
耳前部より上関節腔内に注射針を刺入し、生理食塩水で腔内の洗浄を行い関節円板の癒着や位置異常の改善をはかります。
●マイオモニター
咀嚼筋の疼痛、緊張症状が強い場合、低周波の電気を筋肉に流し症状の軽減をはかります。
顎関節症のお痛み等の症状はご本人にしかわかりません。毎回症状がどのように変化したか、お話を聞かせてください。
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■口内炎が治らない ・・・口腔の腫瘍

様々なメディアでも名前を見ることが多くなったように、食生活の変化や様々な環境の変化の影響か身体にできる悪性腫瘍の中の口腔癌の占める割合が少しずつ増加しています。
口内炎が消えない。広がっている。など、痛みの有無にかかわらずそのような症状が続く場合、歯ぐきや舌、頬の粘膜に白いものができて消えない時。

→口内炎は通常10日~2週間で治ります。長期間にわたる口内炎など、ほとんどは外傷や炎症によるものですが、様々な情報がテレビや雑誌などに氾濫し不安になってしまう方も多いと思います。
場合によっては、画像検査や一部組織をとらせていただいての検査も行いますが、まずは外来受診していただくことをお勧めします。
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■転んで顎を強打した・・・・・顎顔面外傷

事故や喧嘩、転倒などで口の中を切った・・・そんなとき、口中が血であふれパニックになりがちです。口の中で血は唾液に溶けて実際の出血量より多く見えてしまいます。
まずは落ち着いてガーゼやハンカチで血の出ている個所を押さえてください。
それでも血が止まらない場合
→ 縫合処置など専門的な処置が必要になる場合があります。
血は止まったけれど日が経つにつれて腫れてきた。
→ 傷口が感染して膿がたまってきている可能性があります。
顔を強く打ちつけてしまった後、うまく噛めなくなってしまったり、口がうまく開かなくなってしまったりした場合。
→ 顎や顔面の骨が折れている可能性があります。入院下に手術しなければいけないこともあります。早めに受診しましょう。
強くぶつけて歯が抜け落ちてしまったら・・・
こちらをご覧ください。 広報誌「クローバー」第8号
 
 

■虫歯が原因でこんなに腫れるの?・・・口腔の炎症

虫歯といっても放置していると重篤な状態になる場合があります。
体調の低下などが重なると、虫歯も歯周炎も細菌感染ですから歯ぐきの下や顎の周囲に膿を溜めてしまうことがあるのです。
抗生剤の進歩によりひどい炎症は少なくなりましたが、我慢しすぎると飲水もつらい状態になることがあり、まれに大きく切って膿を出さなくてはいけなくなる時もあります。

虫歯はお近くの歯科医院で早めに治療を受けていただくことが大切です。

顎の腫れや痛みが強いとき、(発熱を伴う場合もあります。)早めにお近くの歯科医院、または当科への受診を!!

■インプラント治療について

インプラントとは?
失ってしまったご自身の歯の替わりに、人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を作製して噛む、話すといった機能の回復することを目的とした治療です。

インプラント治療の流れ
口腔内の診査(骨の状態、歯肉の状態)を行いインプラントが出来る状態かの診断をします。
1次手術
インプラントの歯根部分を骨内に埋め込む手術です。
インプラントを埋入する部分の歯肉を切開し、骨を露出させます。専用の切削器具を用いて骨に穴を開けインプラント体を埋入し歯肉を縫合します。
この後下顎で2か月、上顎で4か月間、口腔清掃状態を良い状態に維持しながら骨との十分な結合の形成を待ちます。
2次手術
インプラントを歯肉の上に出す手術です。
埋入したインプラントの上の歯肉を切ります。インプラントに上部構造の基礎(アバットメント)を被せ再度歯肉を縫合します。

上部構造(補綴処置)
歯肉が落ち着いたところで、心棒を作製し、周囲の歯に合わせた色で歯を被せます。
ブリッジや入れ歯との違いは?
周囲の歯を削り橋渡しをして噛めるようにするのがブリッジで、周囲の歯に留め金をつけ着脱式にしているものが入れ歯です。
インプラントは周囲の歯を削ることなく歯を入れる治療です。
どの治療が最も適しているかは患者さま個々のお口の中の状態や健康状態によって決めていかなくてはなりません。
担当医が詳しく説明いたします。
どんな場合でもできるのですか?
基本的には全ての歯の欠損に対して適応になります。ただし、全身の状態(病気も含めて)や口腔内の状態によっては手術が出来ないことがあります。ご相談ください。

■時間外救急時の患者様紹介について・・・紹介していただいております先生方へ

当院は、夜間、土日祝日は休診とさせていただいておりますが、緊急に紹介が必要な場合、救急外来へお電話いただければ、出来うる限り対処いたします。

救急外来は全科の患者様に対応するため混雑します。お電話いただく際は先生のお名前と歯科医院名を事務当直にお伝えくださいますと、行き違い等なく対応できます。
ご面倒をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

平素より君津中央病院歯科口腔外科に対しご理解、ご協力いただきまして誠にありがとうございます。

今後とも様々な面でご指導賜りますようよろしくお願いいたします

2023年5月22日 定期確認実施