地域がん診療連携拠点病院
■地域がん診療拠点病院
国・県はお住まいの地域によって提供されるがん医療の質の差をなくすことを目的として、各都道府県の中でのがん医療について、県の中心となる病院、地域の中心となる病院を指定しています。
当院は、平成14年8月13日付けで地域の中心となる病院として、がん診療拠点病院に指定されました。その後「がん診療連携拠点病院の整備について(健発第0201004号)」により、既指定病院として「地域がん診療連携拠点病院」となり、それ以降継続して指定認定を受けております。
■緩和ケアについて
- 緩和ケアチーム
患者さんに必要な緩和ケアが適切に提供できるよう、多職種による緩和ケアチームがあります。
がんと診断された時から生じる不安や心配事、治療中のつらい症状など、主治医と緩和ケアチームが協力して、患者さんとご家族を支えます。
チーム構成職種: 身体症状担当医、精神科医、緩和薬物療法認定薬剤師、緩和ケア認定看護師、臨床心理士、理学療法士、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士
- 緩和ケア外来
当外来は、2024年1月から院外より紹介された患者さんの受け入れも始めました。
がんの診断時から生じる辛い症状に焦点をあて、症状マネジメントを行います。
外来では、身体的な苦痛症状に対して医療用麻薬など鎮痛薬の処方や副作用対策を行い、こころの辛さに対しては必要に応じて精神科医や臨床心理士と連携を取り対話を重ねながら対応します。また、経済的な問題や介護支援・社会資源の活用についてはソーシャルワーカーと調整いたします。そして患者さんがその人らしい生活を送ることができるように支援していきます。
診療日:火曜日・金曜日、午後1時から完全予約診療となっています。
詳しくは、お問い合わせください。 【問合せ先】0438-36-1071 (緩和ケア外来 内線6553)
■当院を取り巻くがん診療の現状について
当院は君津圏域で唯一の「地域がん診療連携拠点病院」として、地域の病院/医院/クリニック等からご紹介いただいた患者さんの治療や手術等を随時行っています。まずは圏域の中で地域と当院が繋がり、当院で対応が難しい場合には、圏域を超えて、より高度で専門的な医療施設へ繋げるハブのような役割りを果たすことで、がん患者さんがどの地域でも安心して生活できることを目指しています。専門医の在籍状況やご希望の治療内容等により当院で対応できない場合には、千葉県がんセンターや千葉大学医学部附属病院等へ、当院からご紹介させていただきます。例えば、希少がん・小児がん・AYA世代(10~30代)やAYA世代に伴う妊孕性温存療法を望むがん患者さんについては、当院から千葉大学医学部附属病院や国立がんセンター等へ紹介となります。
当院で治療された場合、当院で治療が完結するケース、地域のかかりつけの先生(高齢者が多い地域柄、医院やクリニックに加え、在宅診療も選択肢になることがあります)にその後の健康管理をお任せするケース、各種の「がん地域医療連携パス」を用いて、病態について地域の先生と当院とで定期的に併診を行うケース、等があります。一例として、5大がん(肺がん・胃がん・大腸がん・肝がん・乳がん)に関する連携パスの対象施設として、当院に登録されている医療機関の数を下記の表に示します。治療結果と治療後の病状から、当院主治医が患者さんにとって最適な選択肢を判断し、ご案内いたします。
がんパス連携医療機関登録(2024年4月時点)
|
肺がん |
胃がん |
大腸がん |
肝がん |
乳がん |
木更津市 |
19 |
27 |
28 |
19 |
16 |
君津市 |
8 |
13 |
13 |
8 |
5 |
富津市 |
8 |
8 |
8 |
8 |
6 |
袖ケ浦市 |
3 |
8 |
9 |
3 |
3 |
その他 |
3 |
14 |
14 |
5 |
2 |
計 |
41 |
70 |
72 |
43 |
32 |
■研修の実施体制について
- 厚生労働省では、がん対策推進基本計画(平成19年6月15日閣議決定)において「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」としました。当院ではこれを受けて、平成20年度から「緩和ケア研修会」を毎年開催し、当院及びこの地域の医療従事者が、診断時から適切に緩和ケアが提供できる知見を持つことを目指しています。
参加対象者: 医師、歯科医師、医療従事者
当院の緩和ケア研修会修了者名簿
- がんや緩和ケアに関する研修など
上総がんフォーラム他
参加対象者: 医師、歯科医師、医療従事者
最近の開催実績
■院内がん登録について
- 院内がん登録とは
院内がん登録とは、自院の全てのがん患者さんの診断、治療及び予後に関する情報を集め、登録するものです。「地域がん診療連携拠点病院」の指定には様々な要件が定められており、院内がん登録の実施もその一つです。
院内がん登録は、自院のがん診療の機能を明らかにする目的で実施され、その情報を分析することにより、質の高いがん診療の体制づくりに役立てられます。
さらに、その情報は、国立がん研究センターがん対策情報センターで集計された後に国のがん対策の基礎資料として活用され、全国のがん患者さんやご家族への支援につながっていきます。
- 院内がん登録に係る個人情報の取扱いについて
当院では、国立がん研究センターの研修を修了した院内がん登録実務者が登録事務を実施しています。院内がん登録により得られた情報は、「がん登録等の推進に関する法律」及び当院の「個人情報保護方針」に基づき適正に取り扱っています。
- 院内がん登録データの利用について
院内がん登録の情報は以下に掲げる事項について利用しています。
・院内がん登録全国集計及び予後調査へのデータ提供
・千葉県地域がん登録事業及び全国がん登録へのデータ提供
・政策的公衆衛生的必要性が高い調査研究実施機関及び委託機関へのデータ提供
・当院における医療の質向上のための診療支援、研究及び研修のための資料提供
・当院を受診されるがん患者さんの受療状況の把握
- 予後調査について
院内がん登録では、がん医療を評価する重要な指標である生存率を把握するために、紹介医療機関等との受療状況照会又は当院や院内がん登録予後支援事業による住民票照会での予後調査を実施しています。この点について、ご同意いただけない場合は、その旨をお申し出ください。その場合でも診療への不利益は一切生じません。なお、お申し出のない場合は、ご同意いただいたものとして取り扱いますので、ご了承ください。
- 院内がん登録集計結果
2022年症例集計
部位別集計は、主要5部位である胃がん、大腸がん、肝がん、肺がん、乳がんに加え、当院で登録数の多い前立腺がん、膵がん、子宮頸がんの計8部位について掲載しています。
過去の症例集計