皮膚科(外来 27)
診療内容と特徴
千葉大皮膚科の関連施設としては最大規模の人員を配置し、基幹病院の一員として、内房地区の皮膚科の砦となるべく外科領域から内科領域まで幅広く診療できるよう日々努力しております。
より詳細な検査を必要とする患者さんには他の専門施設と連携して診療いたします。
君津医療圏の公的総合病院として入院の必要な患者さん、手術を必要とする患者さんについてはかかりつけ医または近隣の皮膚科医からの紹介を積極的に受け付けています。
また、退院後は希望のクリニックへの紹介も可能です。
当科は一般皮膚科の診療に加えて、以下の点に注力しております。
- 足壊疽
重症軟部組織感染症および下肢虚血疾患(糖尿病性足壊疽や下肢閉塞性動脈硬化症など)に対する治療を積極的に行っております。当科受診時にはすでに病状が進行していることが多く、放置すると敗血症などを来し死に至るため、整形外科、循環器内科、救命救急・集中治療科、糖尿病内科、形成外科 他、コメディカルの協力を頂きながら対応しております。予防として重要であるフットケアは保険診療の関係上、糖尿病内科、血液透析センターで行っております。
- 悪性腫瘍
2007年に当院皮膚科が再開して以降、皮膚悪性腫瘍における外科的治療、化学療法、放射線治療を継続して行っております。緩和医療科とも連携して終末期にも対応しております。
- 乾癬
2010年からは乾癬に対する生物学的治療を多く手がけており、重症の乾癬患者さんの全身療法、また栄養・運動を考慮した生活習慣の指導にも取り組んでおります。
- アトピー性皮膚炎
各種検査、生活習慣指導、紫外線療法(全身型ナローバンドUVB、ターゲット型UVB)、内服および注射(新規薬剤を含む)による全身療法など積極的に行っております。
- レーザー治療
2019年に血管腫に対する色素レーザー(VbeamⅡ)を導入し、小児科と連携してプロプラノロール内服療法を行うことで乳児血管腫に幅広く対応可能となりました。腫瘍などの切除については炭酸ガスレーザーを用いて皮膚科形成外科領域のレーザー治療行っております。2024年9月にQスイッチルビーレーザーを導入し、メラニン系の色素性疾患に対する治療が可能となりました。
- 検査
接触皮膚炎のパッチテスト、皮膚生検による病理組織検査、体表エコー検査、下肢血流の評価(ABIやSPPなど)、糖尿病足に対する神経伝導速度、その他、光線テスト、発汗試験など専門的な検査を行っております。
- 円形脱毛症
難治・重症例につきましては、精査および入院でのステロイドパルス療法、外来で低分子化合物による内服治療を行っております。
- 特発性後天性無汗症
入院にて発汗試験を行い、病状の把握とステロイドパルス療法を行っております。
- リケッチア感染症
千葉県南部にある当院では日本紅斑熱、ツツガムシ病が毎年発生しており、早期診断、治療を心がけております。また流行状況に合わせた啓発活動も行っております。
- マムシ咬症
救急救命科と連携して、全身管理、外科的処置、血清治療などに対応しております。
- 臨床治験
これまでに乾癬については過去に生物学的製剤1件、低分子化合物1件、外用剤2件、アトピー性皮膚炎は外用剤1件、掌蹠膿疱症は内服薬1件、汎発性膿疱性乾癬は内服薬1件、帯状疱疹は内服薬1件、外用1件、注射薬1件、化膿性汗腺炎について生物学的製剤1件を手がけました。
毎週火曜日の午後は大佐和分院で、第1、2、4月曜日の午後は鴨川市にある国保鴨川市立病院において当科医師が交代で診療を行っております。
診療時間・担当医師のご案内
診療スタッフ紹介
氏名 | 稲福 和宏 | ![]() |
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職名 | 医務局皮膚科部長、科長 | |
出身校(卒業年) | 琉球大学(平成6年)、琉球大学大学院(平成11年) 医学博士 | |
認定資格等 | 日本皮膚科学会認定専門医 | |
専門分野・研究分野 | 尋常性乾癬、閉塞性動脈硬化症、フットケア、光線過敏症、皮膚レーザー |
氏名 | 渡邊 博之 | ![]() |
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職名 | 医務局皮膚科医員 | |
出身校(卒業年) | 自治医科大学 (令和2年) | |
認定資格等 | ||
専門分野・研究分野 | 地域医療、褥瘡、糖尿病性壊疽 |
氏名 | 龍野 暁世 | ![]() |
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職名 | 後期臨床研修医 | |
出身校(卒業年) | 東京女子医科大学(令和3年) | |
認定資格等 | ||
専門分野・ 研究分野 | 皮膚科一般、アレルギー |
氏名 | 渡邊 裕太 | ![]() |
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職名 | 後期臨床研修医 | |
出身校(卒業年) | 新潟大学(令和3年) | |
認定資格等 | ||
専門分野・ 研究分野 | 皮膚感染症、皮膚科救急、難治性下腿腫瘍、皮膚と栄養 |
氏名 | 藤野 里砂 | ![]() |
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職名 | 後期臨床研修医 | |
出身校(卒業年) | 東邦大学(令和4年) | |
認定資格等 | ||
専門分野・ 研究分野 | 軟部腫瘍、緩和医療、遺伝性皮膚疾患 |
診療実績
2023年度入院患者疾患別集計(延べ301名、一部重複あり)
皮膚腫瘍 | |||
皮膚悪性腫瘍(109件) | 皮膚良性腫瘍(54件) | ||
基底細胞癌 | 36件 | 脂肪腫 | 19件 |
有棘細胞癌 | 26件 | 表皮のう腫 | 11件 |
悪性黒色腫(化学療法含む) | 19件 | 毛巣洞 | 7件 |
ボーエン病 | 12件 | 血管奇形 | 2件 |
悪性リンパ腫(含むATL/L、MDS) | 6件 | 後天性リンパ管腫 | 2件 |
悪性線維性組織球症 | 5件 | 脂漏性角化症 | 1件 |
頭部血管肉腫 | 2件 | エクリン汗孔腫 | 1件 |
乳房外パジェット病 | 1件 | 汗腺系腫瘍 | 1件 |
メルケル細胞癌 | 1件 | 被角血管腫 | 1件 |
ピンカス腫瘍 | 1件 | 神経鞘腫 | 1件 |
先天性リンパ管嚢腫 | 1件 | ||
混合腫瘍 | 1件 | ||
外毛根鞘腫 | 1件 | ||
寄生虫迷入による嚢腫 | 1件 | ||
皮膚線維腫 | 1件 | ||
ケラトアカントーマ | 1件 | ||
神経線維腫症1型 | 1件 | ||
グロムス腫瘍 | 1件 | ||
紅斑症・水疱症・血管炎 など (28件) | |||
重症薬疹 | 10件 | ||
水疱性類天疱瘡 | 6件 | ||
汎発性膿疱性乾癬 | 2件 | ||
皮膚型結節性多発動脈炎 | 2件 | ||
落葉状天疱瘡 | 1件 | ||
乾癬性紅皮症 | 1件 | ||
スティーブンス・ジョンソン症候群 | 1件 | ||
薬剤性過敏症症候群 | 1件 | ||
多形紅斑 | 1件 | ||
アナフィラキシーショック | 1件 | ||
壊疽性膿皮症 | 1件 | ||
結節性紅斑 | 1件 | ||
感染症(86件) | |||
蜂窩織炎 | 36件 | ||
壊死性筋膜炎 | 15件 | ||
糖尿病性足壊疽 | 14件 | ||
帯状疱疹 | 5件 | ||
ガス壊疽 | 3件 | ||
ツツガ虫病 | 2件 | ||
日本紅斑熱 | 2件 | ||
陰部ヘルペス | 2件 | ||
骨髄炎 | 2件 | ||
敗血症 | 1件 | ||
水痘 | 1件 | ||
猩紅熱 | 1件 | ||
化膿性足関節炎 | 1件 | ||
細菌性肺炎 | 1件 | ||
血行障害・物理的皮膚障害・外傷など (25件) | |||
マムシ咬傷 | 9件 | ||
下肢閉塞性動脈硬化症 | 8件 | ||
褥瘡 | 4件 | ||
下腿潰瘍 | 2件 | ||
重症熱傷 | 1件 | ||
解離性大動脈瘤 | 1件 | ||
その他 (14件) | |||
広汎性円形脱毛症 | 8件 | ||
特発性後天性全身性無汗症 | 5件 | ||
重症肝炎(薬剤性;irAE) | 1件 |
学会発表
日本皮膚科学会西部支部、東部支部総会、日本皮膚科学会東京地方会、日本皮膚外科学会で発表を行いました。
講演会・勉強会 など
当科医師による房総地区の医師会ならびに薬剤師会、製薬会社主催の講演会(Web形式など)多数行っております。 当科に関連した地域の企画としまして、1.かずさスキンケアセミナー、2.上総がんフォーラム、3.かずさフットケアフェス、4.かずさ皮膚疾患談話会、5.生活習慣と皮膚病を考える会 などを病院あるいは診療科として開催しております。
入院患者の動向
2024年度は全国的な劇症型A群溶連菌の流行により重症軟部組織感染症でショック状態で入院された症例が目立ちました。悪性腫瘍では基底細胞癌が最多で平均的な割合となっております。下肢切断症例は整形外科と協議の上、その多くは当科で施行しております。マムシ咬傷も例年並みにみられております。
2025年4月11日 定期更新実施