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見にくいがん、見えないがんを見えるように

この“見にくいがん、見えないがん”を見えるようにするための新技術が 「5-アミノレブリン酸 (5-ALA)を用いた光線力学診断(PDD) (ALA-PDD)」です。
従来のTURBTと比べ20%以上再発率を低下することが報告されています。

通常白色光(左下)とPDD(右下)を用いて腫瘍をわかりやすくした画像
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 実際にこの技術を用いたTURBTを行い、白色光でのTURBTと治療成績を比較した無作為研究では、4年後、8年後の再発率は、白色光でのTURBTでは31%、48%であったのに対し、光線力学診断を用いたTURBTでは9%、20%と大きく低下することが証明されています。光線力学診断を用いたTURBTを行うことで、再発までの期間も有意に長くなることがわかりました。(Denzinger et al. BJU Int. 2008)

筋層非浸潤性膀胱癌の再発について

膀胱粘膜の表層のみに存在する筋層非浸潤性膀胱癌、いわゆる表在性膀胱癌の治療は主に経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)による治療が可能ですが、膀胱内視鏡では小さな病変や平坦な病変は見つけにくく再発を高頻度に来すことが問題となっています。膀胱内再発を来した場合、その都度、入院し手術を受けることになるため、患者さんにとっては身体的・精神的・経済的な負担を強いられます。
また、再発と治療を繰り返しているうちに予後が不良な浸潤がんや転移がんに進行していくリスクもあり、早期の内に出来るだけ取り残さない手術が必要と考えられてきました。

通常の経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)との違い

高い膀胱内再発率を少しでも抑えようと試みられているのが本技術です。日本では2017年9月に承認され、当科でも2020年からすでに使用中です。光力学診断(PDD)とは光感受性物質が蛍光内視鏡によって蛍光発色する原理を利用したものを言います。アミノレブリン酸(5-ALA)という物質の溶解液を患者さんに内服していただき、手術時に青色の光を発する専用の膀胱内視鏡を用いることで、癌細胞と正常細胞の区別がつき易くなり、より正確に癌を切除できるようになります。
以下の画像の様なとても小さな病変で、通常光では不明瞭な腫瘍もわかりやすく見えるようになります。

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注意点と副作用

アミノレブリン酸内服後は、48時間の間強い光を浴びることを控えていただきます。(光線過敏症:日光のあたる部分に発疹やみずぶくれができる、を起こす恐れがあります)。したがって、部屋の照明や遮光、手術室内の照明などの調節を病院スタッフが行わせていただきます。
また、光線過敏症以外にも、血圧低下や肝酵素異常や悪心・嘔吐、頭痛などがあります。
患者さんの年齢や合併症によってはお勧めしないこともあります。


2025年4月21日 定期確認実施