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PET-CT装置はPET装置とCT装置を1つの装置として組み合わせた装置です。PETとは下図(左)のようにポジトロン(陽電子)を放出し、消滅放射線(γ線)を出す放射性同位元素を含む薬を投与し、その薬の分布や集まり具合から体の機能や代謝を画像化する装置です。CTはX線を使いコンピューター上で体を輪切りにし、病気の位置や形を画像化する装置です。PET-CT装置とは、この2つを組み合わせ、体の機能や代謝と、病気の位置や形を同時に画像化する装置です。当院では、18F-FDGという放射性同位元素を含む薬剤を当日の検査前に取寄せ、検査を行っています。18F-FDGは、ブドウ糖代謝の盛んな正常組織や、腫瘍・炎症などの病巣に集まります。この性質を利用してPET装置で18F-FDG の集まった場所を検出し、CTの位置や形の情報と合わせて総合的に診断するのがPET-CT検査です。通常の撮像では、18F-FDGを投与後、全身に薬が分布するまで待機室と呼ばれる専用の部屋で安静にしていただいたのち、検査室へ移動して、頭から足の付け根の範囲を約20分程度かけて撮像します。より診断の精度を高めるために1回目の撮像の後、時間をあけて2回目の撮像を行うこともあります。この場合も、1回目同様に2回目の撮像まで待機室で安静にしていただきます。2回目の撮像を含めて検査室へ入室してから約2.5~3時間程度時間がかかります。当院のPET-CT装置では、呼吸の動きに合わせて撮像ができます。専門の医師の指示により、特に呼吸の動きの影響を受けやすい肺や上腹部に対して行い、呼吸による影響の少ない画像を得ることができます。

FDG PET-CT予約の流れ(医療機関さま向け)はこちらをご覧下さい。


2024年8月22日 掲載内容定期確認実施

 

放射線治療科ではリニアック(高エネルギー放射線発生装置)を用いて、主に悪性腫瘍に対する放射線治療を行っています。三次元治療計画装置により多方向からのX線を用いた複雑な治療が取り入れられ、またIGRT(画像誘導放射線治療)により高精度に放射線を当てることで放射線による副作用を軽減し、腫瘍に対する治療効果を高めています。
リニアック02
放射線治療装置 VARIAN社 True Beam
リニアック01
治療計画用CT SIEMENS SOMATOM Confidence RT Pro

2024年8月22日 掲載内容定期確認実施

 

医療被ばくについて

 「被ばく」というと、怖い、被ばく事故、などのネガティブなイメージをしてしまいがちです。実際に、過去には被ばくによって作業員が亡くなってしまうような痛ましい事故が発生しております。
 ですが、被ばく事故によって死亡してしまうような放射線量と、診断で用いられる放射線の量には圧倒的な差があります。
 急性被ばくによる放射線の致死量というのは、一般的な胸部レントゲン撮影の約10万~30万倍程度とされています。ですが、これはごく短期間で被ばくした場合であるということに留意しなければなりません。
 食塩ですと、一日の摂取量目安は18歳以上の男性で8g未満とされ、1年あたりにすると約3kg(2920g)となりますが、3kgもの塩を一日もしくは数日で食してしまうと、体に多大な影響が出てしまいます。(数百gの塩分を一度に摂取すると死に至る可能性があります)
 放射線も、短時間で胸部レントゲン30万回分の被ばくをしてしまうと、死に至る可能性があるということですが、実際の検査で起こることはありません。

QST2

 では実際に検査での被ばくは、人体に影響を及ぼすものなのかというと、直ちに影響が出るようなことはありません。100mSvという量に至るまでは発がんなどのリスクの増加は認められていません。たとえ100mSvに達したとしても、発がんによって将来死亡する確率が0.5%上がる程度で、野菜不足によるリスクと同程度と考えられています。
 一般的な胸部レントゲン1回撮影での被ばくは、0.02mSv~0.06mSv、一般的な単純CT検査は5~30mSvといわれており、これは100mSvという野菜不足のリスクと同程度の量よりも、ずっと少ない値です。

carcinogenesis

当院放射線技術科での取り組み

放射線技術科では、高度で良質な医療を提供するとともに、患者さんの不安を少しでも解消し、安心して検査が受けられるように日々努力しております。

定期的な装置更新

 スマートフォンのカメラなどは技術の進歩によって、夜景のような光が少ない状況でもきれいな写真が撮れるようになっています。それと同じように、CTやレントゲン撮影装置、血管撮影装置など、多くの放射線装置医療機器も、少ない放射線できれいな写真が撮れるようになっています。そこで当院では、定期的に機器を評価し、費用とのバランスを考えながら新しいものに更新することで、被ばく低減を図っています。また、最新の機器は今まで見えなったものや、表現できなかったものが表現できるようになったり、被ばくが少なくなったにもかかわらず多くの情報が得られる装置が増えており、診断の質の向上にも寄与しております。

定期的な検証作業

 被ばく量を多くすると、レントゲン写真はきれいになる傾向があるのですが、必要以上にきれいになっても、見えるものは大きく変わりません。これは、スマートフォンなどでデジタル写真を撮るには明るさが必要ですが、必要以上に明るくてもあまり変わらない写真になってしまうことに少し似ています。つまり、必要以上にきれいなレントゲン写真は、無駄な被ばくを伴うということです。
 これは、診断に必要な”きれいさ”を十分に検証し、見極めることで無駄な被ばくを低減することができるということを意味します。
 そこで当院の放射線技術科では、その”きれいさ”のレベルだけでなく、技術的な手法なども定期的に検証し、見直すことで被ばくとのバランスを高度に保ち、不要な被ばく低減を実現しております。
 最近では、被ばくのデータを収集し、最適化のための参考値を作成するという、世の中の動きがあります。JRIMEの、DRLsというものがそのうちの一つで、国内の病院の被ばく情報をもとにした参考値を作成しています。当院でも定期的にデータの収集と検証を行い、DRLsとの比較検討を行っております。以下が、2021年度の結果です。(数字が少ないほうが放射線量は少ない)
 当院の放射線検査は高いレベルの”きれいさ”が求められる精密検査が多いため、被ばくは多くなる傾向があるのですが、定期的な検証作業によって、以下のように低く保っております。

当院の各検査の値とDRL値

各モダリティ診断参考レベル値(※1)当院の値(2023年度)
 一般撮影(胸部)  0.3mGy  0.1mGy
 一般撮影(腰椎正面)  3.5mGy  1.2mGy
 一般撮影(乳房)  1.4mGy  1.27mGy
CT(頭部)CTDI vol
DLP
77mGy
1350mGy・cm
59mGy
1023mGy・cm
CT(全腹部単純)CTDI vol
DLP
18mGy
880mGy・cm
12mGy
631mGy・cm
IVR(血管造影)
基準透視線量率
17mGy/min Angio室  8.5mGy/min
心カテ室 4.5mGy/min
核医学(骨シンチ) 950MBq 847MBq

※1Japan DRLs2020より引用

最後に

君津中央病院放射線技術科では、被ばくの最適化、低減に向けた取り組みを続けてまいります。


2024年8月22日 掲載内容定期更新実施
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