臨床工学科
理念・沿革・組織図
理念
安全な医療機器を提供し、
チーム医療の一員としてつとめます。
基本方針
1.私たちは技術で臨床に貢献します。
2.ME機器の一括した管理を遂行します。
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業務内容としては、人工心肺装置、人工呼吸器、血液浄化療法装置、などの生命維持管理装置の操作およびME機器保守点検を中心に様々な医療機器の管理を担っております。
当院の勤務体制は心臓カテーテル検査室業務、人工呼吸器管理業務、手術室業務、ME機器管理業務を担当者を割り振り、一週間毎のローテーションを実施し幅広く業務をこなせる人材を育成しています。専門的な臨床業務である人工心肺操作、ペースメーカー植え込みおよび外来、アブレーション治療、血液浄化療法は各担当班が業務に当たっており、専門知識に特化したチームで活動しています。現在当直業務開始にあたり全体的な業務ローテーションを視野に入れています。また、医療機器の取り扱いや操作方法などを医師、看護師等に定期的に実施している「ME塾」、新人看護師向けの講習会なども開催し、医療機器取り扱いの安全性向上に努めています。
夜勤体制
平成26年度の診療報酬改定により、臨床工学技士の24時間院内常駐体制を導入する施設が増加し、三次救急医療機関である当院では心肺停止、急性心筋梗塞、多発外傷、重症感染症といった重篤な患者の治療が行われ、臨床工学技士が治療に関与する機会が多いため、平成28年4月からオンコール体制から夜勤体制に移行しました。
夜勤業務開始に際し運営委員会の設立。夜勤業務マニュアルの作成と科内にて11回の勉強会を実施しました。
主な業務内容として、CHDF(持続血液透析濾過)業務、緊急心臓手術業務、人工呼吸器業務、心臓カテーテル検査業務、ME機器保守業務、補助循環業務と、幅広い業務を行っています。
沿 革
2017年(平成29年) | ![]() |
新規入職者を迎え20名体制となる |
2016年(平成28年) | 新規入職者を迎え18名体制となる 当直業務開始 | |
2015年(平成27年) | 新規入職者を迎え18名体制となる | |
2014年(平成26年) | 血液浄化療法センター(ベット30床稼働) | |
2013年(平成25年) | 新規入職者を迎え16名体制となる | |
2012年(平成24年) | 血液浄化療法センター(ベット25床稼働) | |
2011年(平成23年) | 血液浄化療法センター新設(ベット20床稼働) | |
2010年(平成22年) | 医療機器安全管理料が50点から100点に加算 院内勉強会を新たに「ME塾」と命名 |
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2009年(平成21年) | 腎臓内科 血液浄化療法センター開設(ベット数4床) | |
2007年(平成19年) | 医療技術局(医務局より分離)開設 | |
2006年(平成18年) | 臨床工学科設立10周年 アブレーション治療開始 |
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2004年(平成16年) | 医療安全部・中央手術部開設 辞令交付を得て委員となる | |
2003年(平成15年) | 7月新病院開院(診療科目31科、病床数651床) | |
2002年(平成14年) | 臨床工学科に名称変更 | |
1996年(平成 8年) | 臨床工学室開設 | |
1987年(昭和62年) | 臨床工学技士法 施行 | |
1964年(昭和39年) | 君津郡市中央病院組合と改め、国保直営総合病院君津中央病院と改称 | |
1951年(昭和26年) | 君津郡市国民健康保険団体連合会(郡市国保連)に経営が移管され国保直診施設となる | |
1938年(昭和13年) | 保証責任医療購買利用組合連合会により"愛の君津病院"開院 |
組 織 図

スタッフ紹介
スタッフ 紹介
臨床工学技士 | ――――――――― | 20名 |
科長 | ・・・・・・・・・ | 1名 |
課長補佐 | ・・・・・・・・・ | 1名 |
主査 | ・・・・・・・・・ | 1名 |
専門員 | ・・・・・・・・・ | 1名 |
主任 | ・・・・・・・・・ | 3名 |
技士 | ・・・・・・・・・ | 13名 |
2017年4月現在 |
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- [出身校]
- 東京電子専門学校
- 日本工学院専門学校
- 北里大学医療衛生学部
- 帝京平成大学
- 東海大学
- 帝京短期大学
- 読売理工医療福祉専門学校
- 東京医薬専門学校
- 首都医校
- 埼玉医科大学
- 杏林大学
認定資格取得者
体外循環技術認定士 | 2名 | 透析技術認定士 | 4名 |
3学会合同呼吸療法認定士 | 2名 | 臨床ME専門認定士 | 2名 |
不整脈治療専門臨床工学技士 | 2名 | 第2種ME技術実力検定 | 18名 |
ペースメーカ/ ICD関連情報担当者(CDR)認定 | 1名 | 心血管インターベンション技師(ITE) | 1名 |
医療機器情報コミュニケータ(MDIC) | 1名 | ||
危険物取扱者免状(乙種1~6) | 2名 | 第2種電気工事士 | 2名 |
所 属 学 会
日本臨床工学技士会
千葉県臨床工学技士会
日本体外循環医学会
日本透析医学会
日本人工臓器学会
日本不整脈心電学会
日本心血管インターベンション治療学会
業務内容
業 務 内 容

心臓カテーテル検査業務
心臓カテーテル室での業務としては、心電図モニタリング・ポリグラフ操作・圧測定・心拍出量測定・血管内超音波装置(IVUS)・冠血流予備量比(FFR)の操作、ロータブレータの操作などを行っています。急変時には補助循環装置(IABP・PCPS)の操作などがあります。
心臓カテーテル検査室では、心臓血管病(心筋梗塞・狭心症・弁膜症・心不全など)の診断・手術の適応や術式を決定するための検査・治療が行われています。
カテーテルと呼ばれる非常に細い管を腕や足の付け根より経皮的に心臓に挿入し、心臓の様々な部位の圧力を測定します。また、造影剤を使用して心臓の動きや冠状動脈の形態・狭窄度・左心室の動きと大きさ・弁膜の逆流や狭窄・大動脈の情報などが得られます。冠動脈に狭窄がある場合には、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)が行われ、足の血管、シャント血管、腎動脈への治療であるPTA(経皮的血管形成術)も行っています。臨床工学技士は、生体情報をモニタリングし医師、看護師、放射線技師とともに安全に検査・治療が行われるように努めています。
業績 | カテ件数 | PCI/th> | PTA他 |
---|---|---|---|
平成26年度 | 1470 | 430 | 103 |
平成27年度 | 679 | 572 | 105 |
平成28年度 | 1608 | 549 | 1106 |
*心臓カテ-テル検査室における臨床工学技士の業務
まず患者様に心電図電極を貼り、12誘導心電図を記録します。
冠状動脈造影剤自動注入器をセッティングし、ポリグラフによって心電図・圧波形を解析します。
PCI施行中には、IVUS(血管内超音波)や、OCT光干渉断層法の操作を行います。これは冠状動脈造影のみではわからない、血管の内側に沈着したコレステロールなどの動脈硬化性病変を的確に把握でき、ステント治療において正確な診断と治療法の決定に有効な装置です。また、FFR(冠血流予備量比)を測定することで冠動脈狭窄の重症度を表す指標がわかり、治療の診断に有効です。
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また、ロータブレータ使用の際にはセッティングや回転数などの管理を行います。これは微小のダイヤモンド粒子でコーティングされた先端チップを高速回転させることにより、冠状動脈内の石灰化病変や高度硬化病変を削る装置です。
緊急時にはIABP・PCPSの導入介助および管理を行います。素早い対応を行うためにスタッフのスキルを統一できるよう新人教育を徹底して行っています。
また、徐脈の患者様に対して一時的にペーシング機能を補う体外式ペースメーカを留置し操作を行います。
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このような業務を通して臨床工学技士は心臓カテーテル業務におけるチーム医療の一員を担っています。医療機器の操作や管理に留まらず、心電図や血圧などの生体情報モニタの監視によって患者様に安全な医療を提供できるよう努めております。
集中治療業務
臨床工学科ではIABP・V-A V-V ECMO・CHDFの導入及び管理を行っています。
*補助循環業務
補助循環とは、機能障害に陥った心臓や肺の代わりに循環維持、血液の酸素化を行う目的や役割を持つ装置です。
*IABP(Intra aortic balloon pumping)
経皮的に大動脈内に挿入した専用のバルーンを心臓の拍動に同期して拡張・収縮させることで、心臓の仕事量の軽減をさせる装置です。
*V-A ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)
心臓が何らかの原因によって機能障害に陥り、循環動態を保てなくなった際に静脈から脱血した血液を人工肺で酸素加し、ポンプで動脈に送血して循環動態を補助する目的にて使用します
*V-V ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)
肺が何らかの原因によって機能障害に陥り、循環動態を保てなくなった際に静脈から脱血した血液を人工肺で酸素加し、ポンプで静脈に送血して循環動態を補助する目的にて使用します。
補助循環導入件数
平成26年度 | V-A | ECMO | 15 |
V-V | 2 | ||
平成27年度 | V-A | ECMO | 14 |
V-V | 1 | ||
平成28年度 | V-A | ECMO | 16 |
V-V | 3 |
当院ではマッケ社製IABP装置3台 泉工医科工業株式会社製HCS-CFPを2台、TERUMO社製ME-SP101Sを1台使用しています。
*持続的血液濾過透析(CHDF)業務
平成28年4月より、CHDF業務を臨床工学科が行うこととなりました。
各スタッフが安全に業務を行えるよう作業マニュアルを整備しています。
昨年は66例の症例を行っています。
CHDFとは、様々な原因により腎機能が低下してしまった急性期の患者様に対して、持続的に緩徐な設定で血液浄化を行うことで急激なバイタルの変化を抑えるとともに、継続した体液管理を行うことが出来ます。
また、当院の特徴として腎機能補助のみではなく、感染症などによって起こる全身性炎症性反応群に対して専用のヘモフィルターでCHDFを施行し、サイトカイン除去を積極的に行っています。
装置はJUNKEN MEDICAL社製の血液浄化装置を9台使用しています。
*業務体制
平成28年4月の当直業務開始と共にCHDF業務を開始し、CHDF稼働時は3時間毎に使用中点検を行い、圧力の変動や、回路内の凝血が無いかを確認しており、導入や回路凝固などのトラブルに迅速に対応できる体制を24時間整えています。
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人工呼吸器業務
人工呼吸器は呼吸機能を代行する生命維持管理装置であり、装置異常等が発生した場合に速やかな対処が必要となる医療機器です。
当院における臨床工学技士の人工呼吸器業務は、機種選定から始まり、社団法人日本臨床工学技士会から発行された「臨床工学技士のための人工呼吸器ハンドブック」に沿い点検表を作成し、使用前点検、使用中点検、使用後点検を行っております。
また、機種の添付文章に従い、メンテナンススケジュール表を作成し確実にメンテナンスを行うことで人工呼吸器の信頼性を維持しております。 経年劣化・老朽化機器に対し廃棄及び更新計画表を作成します。
当院では集中治療室(ICU/HCU)にてInfinity V500、Evita4(Drager社製)、Carina、エングストローム(GE ヘルスケアジャパン社製)、NICUにてBabylogVN500(Drager社製)、SLE5000(東機貿社製)、ステファニー、サイパップなど、成人病棟にてServoi、Carinaを、小児病棟では、E-360を。現在グラフィックモニタを搭載した人工呼吸器を選定し、各部署毎に機種を可能な限り統一し、事故防止に努めております。
病棟 | 集中治療室 | NICU | アンギオ室 | |
---|---|---|---|---|
V500 | 5 | |||
Evita4 | 8 | 3 | ||
Carina | 4 | 4 | 1 | |
Servo i | 12 | |||
E-360 | 4 | |||
ハイフローセラピー | 2 | 2 | 5 | |
VN500 | 5 | |||
SLE5000 | 2 | |||
サイパップ | 8 | |||
カリオペ | 5 | |||
ステファニー | 1 | |||
ハミングV | 1 | |||
エングストローム | 1 |
人工呼吸管理の注意点、各種モードやアラーム対応等を採り上げ人工呼吸器が安全に使用できる環境作りや、メーカの協力を得て高いレベルでの呼吸管理を修得できるよう実施しております。
非侵襲的陽圧換気(NPPV:non-invasive positive pressure ventilation)とは、気管挿管や気管切開といった侵襲的な医療行為をせずに、マスク等を装着して気道に陽圧をかけて換気を行います。当院では、安全に使用できるよう患者様にあったモードや、マスクフィティングについての勉強会も開催いたしました。
非侵襲的陽圧換気ではマスクの固定や皮膚の状態を観察すること、患者様とコミュニケーションをとり、苦痛や不安を取り除くことも重要です。また、心不全患者様に対して人工呼吸を行うと呼吸に要する負荷を軽減させるだけでなく、酸素化能を改善して心筋に対しても良好に作用します。うっ血性心不全を呈した左心不全症例に対しては、PEEPを付加することで胸腔内圧を上昇させることにより末梢静脈と中心静脈の圧較差を減少させ、前負荷を軽減させるため、当院においても積極的に選択しております。
平成22年4月に厚生労働省により各医療スタッフの専門性を十分に活用し、患者・家族とともに質の高い医療を実現することを目的に「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進」が発令されました。臨床工学技士等の関係職種とともに喀痰吸引が必要になる場合があり、これらを実施することが出来る行為であると示されました。これにともない当院では、気管吸引を実施するにあったての教育スケジュールを作成し、院内勉強会を年に6回、各種院外勉強会へ参加することで知識を深め、当該行為が安全に実施できるよう心掛けております。
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血液浄化療法業務
透析液清浄化についてはRO装置としてDRO-NXシリーズ1型熱水膜仕様のものを採用し清浄度の安定したRO水供給可能なものを、洗浄消毒は熱湯クエン酸消毒を採用しています。毎月臨床工学技士によりエンドトキシン、生菌検査を施行し基準値をクリアした結果を得られています。
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*業務体制
月・水・金、火・木・土それぞれ1クールでシフトが組まれ、血液浄化療法センター担当の臨床工学技士8名で業務に携わっています。業務内容としてはプライミング、穿刺、返血、を含め透析中の状態管理、検査データ管理、スケジュール管理、条件管理、各透析装置のメンテナンス等を行っています。
当院における透析治療の特徴として、入院患者様の多くは様々な合併症を抱えている重症患者様です。特に循環器疾患を持つ患者様が多く透析中モニタリングや薬剤投与(昇圧剤、KCL、等)が必須なことが多く、バイタル変動が多いため透析中の状態管理など注意深く行っています。又各種血液浄化療法(血漿吸着、DHP、G-CAP、L-CAP、LDL吸着、腹水濾過濃縮再静注法、等)の依頼も多く行っています。安定した外来維持透析患者様のほか重症度の高い透析患者様も多く日々緊張感、変化が多い血液浄化療法センターです。そのため、ルーチン業務化した業務のみだけでなく、透析に関わる多方面の知識や手技、業務(緊急、救急、心外、循環器、呼吸器、消化器疾患等の患者の血液浄化療法また管理、ICUへの出向透析、等)を施行できるよう努めております。
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体外循環業務
手術部では年間4700件余りの症例を行っています。そのうち人工心肺を用いる心臓血管外科の症例は年間約70例弱で一症例2名の臨床工学技士がチーム医療の一員として従事しています。
体外循環(人工心肺)とは・・・心臓手術では心臓を停止させ心臓へ流れ込む血液を遮断しなければなりません。そのため全身の循環を代行するために人工心肺装置が用いられます。人工心肺装置は肺のガス交換の代わりをする人工肺と全身に血液を循環させる血液ポンプで構成されています。また人工肺には熱交換器が附属されており体温調節も行っています。
成人症例に多く見られる不安定狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患に対する冠動脈バイパス手術を始め、大動脈狭窄症や僧房弁閉鎖不全症などの弁膜症に対して人工心肺装置を使用しております。当院はドクターヘリの基地局にもなっておりますので、三次救急などに搬送されてくる急性心筋梗塞や急性大動脈解離などの緊急性を要する手術でも、24時間対応しています。
*主な症例
冠動脈疾患:狭心症、急性心筋梗塞、不安定狭心症、亜急性心筋梗塞等
弁膜症:大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧房弁狭窄症、僧房弁閉鎖不全症等
大動脈疾患:急性大動脈解離、急性大動脈瘤等
その他:大動脈弁輪拡張症、左室形成等
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当院では2007年より血液ポンプに遠心ポンプを採用し安全性の高いシステム作りを心がけて参りました 。さらに2011年にはSORIN社製S5を導入することで2007年に関連団体からの通達に基づくガイドライン「人工心肺装置の標準的接続方法およびそれに応じた安全教育等に関するガイドライン」をすべて網羅しております。
システム構成は、すべてのポンプを分離型としコントローラーを集中することで人間工学的にも安全性を担保できていると考えています。分離型の利点としてポンプを自由にレイアウトすることができ、低プライミングが可能となりました。
早期よりプレコネクト人工心肺回路を採用し現在ではすべての症例で、プライミングボリュームを900mlまで削減することができ、成人での極小体型の患者様でも一つの回路で対応できるように考案されています。人工心肺装置および周辺機器は一年に一度、医療機器安全管理対象機種であるため製造会社による定期点検を実施し安全を保っております。
体外循環支援システムとして、20000年よりKMS社製「ECTOOL」を採用していましたが、手術部においてフィリップス社製麻酔および看護支援システム導入の運びとなり、その折体外循環支援システム「Tetra」も同時に採用されることとなりました。
現在では手術中の麻酔、看護、人工心肺とすべての記録がリアルタイムに閲覧することが可能で情報の共有化がより一層図れるようになりました。使用物品に対してもトレーサビリティーに考慮したシステムで患者様に使用された物品はすべてシリアルを登録し使用履歴が保存されることで安全を第一に心がけています。
その他にも、発売当初より「体外循環用血液学的パラメータモニタ」CDI500を導入し、脳分離体外循環時には「無侵襲混合血酸素飽和度監視装置」INVOS(COVIDIENCE社製)を用いて局所混合血酸素飽和度を連続的かつリアルタイムにモニタリングしています。全症例術中映像を記録保存し患者様の要望に応えられる体制をとっています。
我々は、安全性を第一に考え質の高い体外循環を提供できるように日々努めてまいります。
不整脈治療業務
*デバイス関連
当院では、ペースメーカ、ICD、CRTD、CRTPの植え込み手術および管理を行なっています。
臨床工学科では、ペースメーカ植え込み手術に立会い、プログラマーやアナライザーの操作、ペースメーカ外来時のチェックを担っています。また、ペースメーカ植え込み患者様の手術時や救急外来へ来院した際などの臨時チェックにも対応しています。
*植え込み業務
当院では、心臓カテーテル検査室でペースメーカ植え込み手術を行なっています。
植え込み時の業務は、
・手術時に必要な物品の準備
・シースイントロデューサー、リード、ペースメーカ本体など清潔物の術野への物品出し
・アナライザーによる心内データの測定
・プログラマーによるペースメーカ本体の設定および、測定
入院中に、看護師によりペースメーカと生活していく上での注意点などの説明が行われます。
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*ペースメーカ外来業務
当院では、第1週木曜日にICD/CRTD/CRTP外来を、第2,3,4週木曜日にペースメーカ外来をそれぞれ14時~16時に心電図室にて行なっています。受診の頻度は、植え込み術後の期間やエピソードの有無によりますが、6~12ヶ月毎です。ペースメーカの電池の寿命が近くなると、3ヶ月毎に受診して頂いています。
外来では2つのブース使用し、各ブースにて同時にペースメーカの点検を行っていますので、2名体制で従事しています。
各ブースで行った結果を医師に報告し、患者様に結果の説明が行われます。 外来時の点検は、電池残量、リード抵抗、閾値、波高値の測定、およびエピソードの内容を確認し、作動不全がないか、適切な設定かを確認しています。また、患者様に日常生活において、困っている点や不安な点をお伺いし、患者様のQOLを少しでもあげられるよう務めています。
*カテーテルアブレーション治療業務
当院では、2名体制でカテーテルアブレーション業務に従事しています。手術中は、ポリグラフ、スティムレータ、アブレータ、3Dマッピングシステム(CARTO、EnSite)の操作を2名で分担して行なっています。 平成23年度より、不整脈専門医師が増員となったため、カテーテルアブレーションの件数が急激に増加し、当科としても力を入れている分野であります。
当院循環器科心房細動アブレーションホームページ
http://www.hospital.kisarazu.chiba.jp/shinryo-shokai/junkankika/junkankika2.html
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過去の実績 | PMI | ICD | CRT | ABL | EPS |
---|---|---|---|---|---|
平成24年度 | 79 | 12 | 9 | 228 | 2 |
平成25年度 | 63 | 13 | 4 | 259 | 2 |
平成26年度 | 60 | 8 | 11 | 249 | 0 |
平成27年度 | 63 | 12 | 2 | 296 | 4 |
平成28年度 | 72 | 20 | 5 | 339 | 3 |
手術室業務
当院には、外来手術室を含め9部屋の手術室(以下OR)があります。
担当を1名配置しており、急なトラブルや修理に迅速に対応しています。
心臓血管外科の人工血管置換術やOPCAB手術に対しては自己血回収装置 エレクタ(SORIN社製)を使用しています。自己血回収装置は術中に出血した血液を吸引回収し、フィルタを介して組織片や凝血などを除去し、生理食塩水で洗浄濃縮をすることにより血球成分のみを再利用する装置です。その結果、輸血を減少させ、輸血に伴う合併症の可能性を著しく低減させることができます。
大量出血を伴う場合や特殊な血液型で輸血が困難な場合の手術で自己血回収装置を使用することにより、安全な自己血輸血が可能となります。
また新しく運動誘発電位(motor evoked potential)【MEP】モニタリング業務を始めました。脊髄や脊椎における手術や胸部下行大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤の術中に脊髄を損傷してしまい、手術後、患者様の身体に麻痺が発生してしまう可能性が5~15%程発生すると言われています。
MEPモニタリングは手術後に麻痺が発生しないように患者の運動神経に傷がついていないか、刺激電極から電流を流すことで四肢の筋肉が収縮する反応を起こし筋肉が収縮した際に発生する電流を感知する導出電極により、電気刺激を加えたことによって筋肉が収縮するかモニタリングと評価を行い術後の麻痺発生率を低下させるために、当院では脊椎異物除去術や脊椎形成術など整形外科の手術の際にMEPモニタリングを行っております。
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*手術室ME機器点検業務
手術室にある、除細動器のシステムチェックや体外式ペースメーカのバッテリーチェックなどの点検を一週間ごとに実施しています。
麻酔器は4ヶ月に一回、本体内部のリークテストやフローアナライザーのサーティファイア(TSI社製)を使用し、換気量や酸素濃度の実測値の測定を行う定期点検を実施しています。
また電気メスは6ヶ月に一回、電気メスアナライザーや漏れ電流測定器を使用して、切開や凝固の各モードの出力測定や安全機構の動作確認、漏れ電流の測定を行っています。
ME機器業務
*医療機器管理業務
当院ではME機器管理支援ソフトを使用し医療機器管理を行っています。輸液ポンプ、輸注ポンプに関しては、定期点検を実施し、内部調整や精度チェックを行い、いつでも必要な時に安全で効率よく貸し出せるように中央管理しています。
その他のME機器に関しても、定期点検を行っています。年間スケジュールを組み専用チェッカーを使用し麻酔器、除細動器、セントラルモニター、保育器、電気メスなどのME機器の定期点検を行っています。
*中央医療機器管理室
中央管理とは院内全体で共通使用される医療機器を、一箇所(ME室)に集めて、貸出、返却をする管理方法です。
当院での中央管理は、医療機器管理システム「Me-TOMASS」を用いてコンピュータ管理を行なっています。登録した機器にはバーコードを貼り管理しています。このシステムを用いることで、所在管理、計画的保守、機器の標準化(統一)が可能です。
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*中央管理機器
以前は当院でも病棟ごとにME機器を保有していました。しかし病棟ごとに配置することで、保有している病棟でしか使用できなかったり長期間使用されない機器があったりと非効率的でした。
さらに病棟ごとに必要なだけ保有してしまうと保有数は多くなってしまいこちらも非経済的でした。そこで中央管理を行うことにより必要な機器を、必要な時に、必要な病棟へ貸し出すことで効率的に運用するようになりました。
*作業部屋
点検、修理などを行っている部屋です。修理内容が記載された修理伝票が修理品に添付されて各病棟より臨床工学科に送られ、点検、修理を行っています。
委託修理発生時には医療機器メーカと協力し現場での医療機器の使用に支障が出ないように代替器の手配、修理手配を行っています。
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実 績 | 点 検 | 修理 | ||
始業 | 使用中 | 定期 | ||
平成25年度 | 246 | 1090 | 152 | 154 |
平成26年度 | 2759 | 3269 | 1500 | 879 |
平成27年度 | 2781 | 3602 | 1736 | 935 |
平成28年度 |
2921 |
6235 | 1797 | 910 |
*各種点検器具
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ME塾
ME 塾
臨床工学科では医師、看護師の方々に医療機器の取り扱いや操作方法などの院内勉強会を定期的に実施しており、この勉強会を平成22年度より「ME塾」と命名しました。講師は臨床工学技士だけでなく、専門的な内容に関してはその分野でご活躍している先生をお呼びして講演していただいています。そのおかげで多くの知識が得られると毎年好評で、多くの方々に参加していただいています。
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第11回ME塾の参加者は61名で主に看護師さんをメインに参加していただきました。当院、臨床工学技士 芳森亜希子、 中野僚哉が講師を務めました。「不整脈治療って?」というテーマで、主に心電図波形の話やカテーテルアブレーション治療に関する知識、臨床現場のなかでどのように判断していくかを講演しました。
第12回ME塾の参加者は34名で、主に研修医、ICU・CCUや人工呼吸器を多く使用する病棟の看護師さんをメインに参加していただきました。当院、救急・集中治療科 岡義人先生、臨床工学技士 夛田和弘が講師を務めました。「ひと目でわかる人工呼吸器」をテーマとして「模擬生体肺」に人工呼吸器を接続し、普段決して見られない肺を実際に見ながら換気モードの違い、PEEPの効果、肺損傷予防法など、人工呼吸器管理について詳しく講演しました。
開催年度 | テーマ・内容・講師 |
---|---|
第11回 平成28年度 |
「不整脈治療って?」 臨床工学科 芳森 亜希子 中野 僚哉 |
第10回 平成27年度 |
「ひと目でわかる人工呼吸」 臨床工学科 夛田和弘 |
第9回 |
「心電図とペースメーカ」 臨床工学科 芳森亜希子 |
第8回 平成26年度 |
「人工呼吸器 サーボi補講」 「サーボiの補講」 臨床工学科 夛田和弘 |
第7回 平成26年度 |
「人工呼吸器 肺保護換気」 「肺保護戦略」 千葉中央メディカルセンター 臨床工学技士 配野治先生 |
第6回 平成25年度 |
「酸素療法」 「酸素療法の基礎と最新の酸素療法」 パシフィックメディコ株式会社 斉藤幸彦先生 「非侵襲的陽圧換気:Carinaの使用について」 臨床工学科 夛田和弘 |
第5回 平成24年度 |
「人工呼吸中の鎮痛・鎮静」 コヴィディエン・ジャパン株式会社 レスピラトリー事業部 矢後幸子先生 「当院における人工呼吸中の鎮痛・鎮静評価」 ICU病棟 看護師 大屋直子先生 |
第4回 平成24年度 |
「血液浄化療法とは」 臨床工学科 森口英明 |
第3回 平成23年度 |
「人工呼吸管理応用について・心電図モニタの基礎」 「人工呼吸管理応用について」 臨床工学科 夛田和弘 「心電図モニタの基礎」 臨床工学科 芳森亜希子 |
第2回 平成22年度 |
「非侵襲的人工呼吸:BiPAP Vision」 「非侵襲的陽圧換気:BiPAP Visionについて~基礎~」 臨床工学科 夛田和弘 「マスクフィッティングについて」 フィリップス・レスピロニクス 石川先生 |
第1回 平成22年度 |
「人工呼吸ケア」 「人工呼吸ケアのポイント」 臨床工学科 夛田和弘 「気道管理、人工呼吸関連肺炎:VAPについて」 コヴィディエン・ジャパン株式会社 レスピラトリー事業部 矢後幸子先生 |
臨床工学士とは
臨床工学技士とは
医療機器が多用される最近の医療現場では、医師や看護師のみでは効率的かつ安全な医療の遂行が難しくなり、医学的な知識のみならず工学的な知識と技術を持つ専門家として、1988年に誕生したのが臨床工学技士です。臨床工学技士は医療技術者の一つで、厚生労働大臣の免許を受けて
『医師の指示の下に呼吸、循環、代謝に関わる生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業とする』
(臨床工学技士法第2条)
とされています。
臨床工学技士はCE(Clinical Engineer)と呼ばれ、近年の医療機器の目覚ましい進歩に伴い、医学的・工学的な知識を持つ専門家として医療の重要な一翼を担う厚生労働省認定の国家資格を持つ職種です。医師の指示の下、他の医療スタッフと共に人工心肺や人工呼吸器などの生命維持管理装置の操作及び保守点検を行います。医療関係職種の中で医師以外の看護師や放射線技師のような医療技術者のことをコ・メディカルと呼びますが、臨床工学技士もその中の一職種です。
また、高度な専門性を持った臨床工学技士に対し、関連学会が認定制度を設けています。
・透析技術認定士・体外循環認定士
・3学会合同呼吸療法認定士
・臨床高気圧治療技術士
・臨床ME専門認定士
★臨床工学技士になるには…
3年制の臨床工学技士養成専門学校もしくは4年制大学を卒業することにより、臨床工学技士国家試験の受験資格が得られ、国家試験に合格して厚生労働省から免許が与えられます。
呼 吸
呼吸の仕組み
私たちが無意識に行っている呼吸によって、体の中の酸素と二酸化炭素が常にバランスよく保たれているのです。
この酸素を取り込み、二酸化炭素を排出することを「呼吸」といいます。
肺には筋肉がないため、自分で広がったり縮んだりできませんが、横隔膜とろっ骨の間をつなぐ筋肉によって呼吸運動が可能になります。息を吸うとき横隔膜が下がり、ろっ骨が上がります。そして肺に空気が吸い込まれます。
息を吐くとき横隔膜が上がり、ろっ骨が下がります。そして肺から空気が押し出されます。 もし息を吸って、吐くことができなくなったら・・・
私たちの体には必要な酸素が取り込まれず、体内で発生した二酸化炭素を排出することができなくなり、最悪の場合、細胞が死滅してしまいます。
このように呼吸ができなくなってしまった場合、あるいは肺の機能が低下して酸素を充分に取り込めなくなってしまった場合に使用されるのが、人工呼吸器です。この人工呼吸器が装着されている患者様のもとへ行き稼働動点検を行ったり、安心して使って頂けるように定期点検などを行っているのが臨床工学技士です。

循 環
循環の仕組み
もし、血液を体中に巡らすことができなくなったら、細胞に必要な酸素が取り込めず、体内で発生した二酸化炭素を排出することができなくなり、細胞が死んでいってしまいます。
そこで、循環が何らかの原因でできなくなった場合に使用されるのが人工心肺装置、補助循環装置です。人工心肺装置、補助循環装置とは、心臓や肺が行っている機能を代行して体中に血液を送りこみ補助的に循環させる装置です。

血 液 浄 化
代謝の仕組み
これらを担っている臓器が腎臓です。腎臓は血液を濾過することで老廃物を排出しています。この老廃物とは窒素を含んだ窒素系老廃物で、クレアチニン、尿素、尿酸などです。これらはタンパク質が体の中で利用された後の分解産物で有害な物質です。
もし、血液中の不要な物質を体の外に出すという行為ができなくなったらどうなるでしょうか。
体内で発生した有害物質や不要な水分を排出することができなくなり、どんどん体の中にたまっていってしまい最終的には死に至ることもあります。
そこで、この代謝ができなくなってしまった場合に使用されるのが人工透析装置です。人工透析によって血液中の不要な物質や水分を排出させ、必要な物質を補充して腎臓の働きを代行する仕組みです。

臨床実習・病院見学・お問合せ
臨床実習
当院は平成21年度より学生に現場の雰囲気と仕事の環境を勉強するために臨床実習を行っています。
実習内容は主に人工呼吸器、補助循環業務、心臓カテーテル業務、心臓デバイス植え込み業務などの集中治療室実習。人工心肺装置について学ぶ手術室業務。医療機器管理システムや医療機器整備などの医療機器管理業務実習の3つにわけて実施しています。
平成25年度からは血液浄化療法業務も実習に加え、計4項目の臨床実習を行っています。
帝京平成大学 |
東京医薬専門学校 |
帝京短期大学 |
読売理工専門学校 |
読売理工医療福祉専門学校 |
首都医学校 |
実習人数 | |
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平成21年度 | 4名 |
平成22年度 | 7名 |
平成23年度 | 5名 |
平成24年度 | 6名 |
平成25年度 | 8名 |
平成26年度 | 4名 |
平成27年度 | 7名 |
見学お問合せ
見学を希望する皆様へ
君津中央病院臨床工学科では臨床工学技士を目指す学生、新たな地で再就職を望む方など 広く病院見学者を受け入れています。見学希望者は下記連絡先までご連絡下さい。
〒292-8535
千葉県木更津市桜井1010
℡ 0438-37-1071(内線2303)
担当 佐々木
E-mail:me●kc-hosp.or.jp
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